着物姿で


今月の民藝公演は「海鳴り」

サークルの友人と申し込む時
藤沢周平さんのファンだからこれはどうしても見たいわ。
 行く時は必ず誘ってね。」
と80歳のお仲間がおっしゃっていたけれど
気候が悪いのか夏の疲れが出たのか
「残念だけど足の神経痛が・・・」
もうお一人のお仲間は
「周平さんは大好きだけれど、この話は嫌い
 どう書いたって我侭な男と女の不倫じゃないの、感じ悪い」
というわけで今回は二人だけ


ところが彼女は和裁のお師匠さん
「着物着ていきましょうね?」
「いや、まだ暑いんじゃない?」
羽織無しで出かけるのはちょっとツライなと思う私。
「だからよ、練習しなけりゃ上手にならないでしょ?
 もっと下手で着ていらっしゃる人は沢山見かけるわ。
 余り気にせずに着慣れましょ。」

で、汗を掻き掻き和服で出撃!


文庫にして上下二冊、長い話を芝居は綺麗にまとめました!
こういうのを手馴れた芝居というのだろうな?
と、変な感心をした私です。
原作で納得させられた「むなしさが心を噛むその年頃の隙」が、
それこそサークル仲間の言う「ただの不倫」にまとめられたような?
二人の心が寄り添う様が、
「心の隙間風にあおられた男と女の情の残り火を
 掻きたてたのは偶然と悪意に手繰られた運命」
に、過ぎなかった・・・みたいな
う〜ん、何か大事なものが整理されちゃったよ・・・みたいな


それでも目の前で繰り広げられる演技は不思議な実感を与える
その手ごたえがまた芝居に駆り立てる
・・・う〜ん、納得?してしまう。