袖摺りあうも多少の・・・と言いますが、先日面白い出会いがありました。


その方はとても小柄で見事な銀髪で
可愛らしいおばあさんだと思いましたが、
背筋もぴんと伸びていらっしゃるし、
まさか80歳になっていらっしゃるとは!


ハンドバックから小さな新聞の切抜きを出して
「行きたいと思って切り抜いておいたのだけど
もう随分長いこと渋谷は出かけていないし
一人で行けるか自信が無くて迷っているのよ。」
「モジュリアニと妻ジャンヌの物語展」
それはたしか3日で終る筈でした。


父と行こうと思っていたのに
歌舞伎を二日見続けて疲れたらしくて、
「モジュリアニは好きだが随分作品は見ているから今回は止めよう。」
そんなわけで私も一人でいくかどうしようか迷っていたのです。


偶然でしたが、とっさに予定表を頭に浮かべて
「29日なら私行けるのですけれど、良かったらご一緒にいかが?」
「お邪魔じゃなかったら連れて行ってください。」
そんなわけで出かけて
この方は私の母より一つ若いだけと知りました。
不思議ですけれど私の母もモジュリアニが好きでした。
流石に足取りは父のようで、ユックリで
地下鉄の駅もエスカレーターを探してあげながらの渋谷行きでしたが、
会話の端々に母の記憶が甦ってくるようでした。
同じ年頃、似た地域の生まれということもあったのでしょう。
母が生きていたらきっとこんな風に
この展覧会二人で歩いていたことでしょう・・・


それにラッキーだったのは
文化村のザ・ミュージアムで入場券を買おうとしていたら
見知らぬ女性二人に呼び止められて
「友人が急に来れなくなったから使ってください。」
招待券を二枚頂いてしまいました。


そういえば私も何度か頂いた券を無駄にしたくなくて
同じ様に見知らぬ方に使っていただいたことがあります。
意外なところで廻りめぐって・・・
母のような方と使わせていただけたのは
何かなぁ・・・何か不思議な嬉しさでした。