Iちゃんは見ていた


旦那の家のお盆は
紙の小提灯を持ってお墓にお迎えに行き
お盆中にお供えしたものを持ってお墓へ送っていきます
勿論、御先祖様を…
嫁いで39回目のお盆には珍しく旦那と義姉と
お隣の新家のIちゃんが一緒でした
淋しくなったものです…
昔は近所に住む旦那の伯母叔母従姉妹義母義姉…
鐘の音を合図にぞろぞろお寺に向かったものでした
近所の人たちも三々五々現れてお寺は人でいっぱいでした
でも数年ぶりの今回の送りでは…
お墓に行っても来ている人はちらほら…ご時世ですか?


帰りにIちゃんが
「あんたのお母さんもう何年になる?」
「今年の秋に13回忌よ」
「ちょうどあんたここに、白内障の義母さんの世話に
 北海道から帰っていた時やったなぁ…もう13回?早いなぁ」
「まぁよく覚えているのねぇ〜」
「忘れられるかいな…あんたの義母さん病院で
 同じ部屋の人たちに優しい娘さんがいて幸せねぇ…って言われて
 もっと優しいホントの娘がもうすぐきますで…これは嫁や…言って
 あんた目をまん丸くしてびっくりして義母さん見てたやろ
 私あん時病院へ見舞いに行ってそこに居たんで…
 でそのすぐ後やったろ弟さんから倒れたって電話入ったの
 そりゃ忘れんわさ…あの後あんたが飛んで行ったあと
 換気扇の掃除が途中のままやで…義母さんも義姉さんも
 換気扇掃除したことないで…どうしよう大騒ぎしとったで
 忘れられるかいな…あんたかて忘られんやろ?」
「そうなのよ
 あの家で換気扇掃除するの私しかいないでね
 あの頃帰るといつも換気扇洗ってってなってまず言われてたんだわ」
「そうかぁ13回忌かぁ早いな若かったなぁ」


いやいやあの時あの眼科病院に
Iちゃんが居て見ていたなんて…
私には彼女が来ていたなんて全く記憶にないんだけどなぁ…
しかしIちゃん、隣とはいえ、他人の事
ようもそんなに覚えているもんやねぇ…記憶力いいのかな?
Iちゃんって昔から呼んでいるけど、Iちゃん80歳なのに…
えー私の方がボケてる…私の記憶力…ヤーイ!


ここで嫁と言われるようになってから…旦那の
おじいさんを送り
おばあさんを送り
お父さんを送り
叔父さんを送り
伯母さんを送り
叔母さんを送り
従弟を送り
……人が少なくなったわけだなぁ…旦那も私も60路を超えたんだもん!
お盆ってあの世が近くなるのかなぁ
懐かしい人を次々思い出してる・・・・・・・・・・