先の楽しみ


ちょっと前に
明日の記憶」って言う渡辺謙さんの映画見たか?」
と父から電話がかかってきた。
見るか見まいか迷っていたら、立て続けに
夫婦で見に行って来たという友人たちから
「落ち込んだよー」
とか
「思い当たることばっかしで、気の小さなうちの亭主
夜寝れなかったみたいだよー」
とか
「アルツの最初の頃って今の私と同じみたいでさー、
いい加減考え込んじゃった。」
とか聞いたので
「ヤッパリやめることにしたわ!」
「そうかぁ、お天気が良くなりそうなので、
俺明日横浜へ行ってこようかと思っているんだ。」
「楽しくなさそうだから、もっと面白いものにしたら?」
「85にもなれば、
若年性のアルツハイマーの心配だけはいらないからな、
その点安心だろ。」
と、笑って、
「明日でも、明後日でもいつでも
先の日に楽しみがあると思うと
なんか元気が出て、一人でもやっていけるんだ。」
「じゃァ、行ってらっしゃい。」


なるほどささやかでも先に楽しみがあるってことは、
凄く大事なことかもしれないね、生きていく上で。


昨夜その父から
「今月の新橋演舞場のチケットを取ってくれ。」
と、また電話がかかった。
「お前も行ける日なら何時のでもいいから。」
連れて行っていただけるものなら・・・と、二つ返事。
早速インターネットでチケット購入。
「取ったよー、夜の部二枚」
「お前は凄いなー!
それにしても便利な世の中になったものだ・・・!
これでまた今月も楽しみが出来た。」
と、父は喜んでくれる。
最近落語も芝居もチケットを取るのは私の役目
褒めてもらえるし、連れて行ってもらえるし
私も二度おいしい!


おかげさまで私も楽しみが出来たよ、
ありがとう!