わいちゃん頑張れ!


パパは世界中で一番寝相が悪い人だとママは思っています。
本当はパパを隔離して、隣のお部屋に寝かせたいくらいなのですが、
子どもたちと一緒にいる日の少ないパパと子どもの為には
一緒の部屋で寝るということは大事な事だと思っているのです。
パパはただ今軽い単身赴任中です。
でもパパがもう少し寝相のいい人だったらどんなにかいいでしょう。


わいちゃんとえすちゃんの夜中の面倒を見るのには、
ママは二人の間に寝るのが一番都合がいいのです。
だからいつもは「真ん中が長い川の字」で寝ています。
一週間の大半はママはわいちゃんとえすちゃんの真ん中で、
夜中に二人に布団をかけたり、
汗で濡れたパジャマを着替えさせたり、
畳の上に落ちた子を布団の上に引き上げたりと忙しいのです。
そして、週末の夜はパパの寝相からわいちゃんを守るのに忙しいのです。


パパがいる日はママはわいちゃんのお隣にパパの布団を敷きます。
夜中にドタリと言う気配でママが目を覚ますと、
パパはいつも自分とわいちゃんの布団の上に
横一文字の大の字になってのびのびと寝ています。
わいちゃんはママの布団の頭の上の方にいたりしてびっくりです。
またある時は、わいちゃんのお顔が無いのでママはギョッとします。
パパの体の下からママはわいちゃんを引っ張りだします。
時々わいちゃんはパパの足元で泣きべそをかいて、
ママに知らせてくれることもありますが、
ママはいつもはらはらしながら寝ています。
夜中に三度ぐらいこんなことがあると、
ママはペンペンとパパのお尻を叩いて戻しますけれど効き目はありません。


パパは澄まして翌朝こう言いいます。
「違うよ。わいちゃんが布団の上にいなかったから、
僕は空いていたところに転がっただけだよ。」
ため息をママは心の中に落とします。
「まだ小さいえすちゃんはとてもパパの隣には寝かせられないわ。
ぺしゃんこにのされてしまうもの。
わいちゃんが早く大きくなってくれて助かるわ。」
わいちゃんは幼稚園に入ったのです。


ところが今夜、いつの間にかわいちゃんの布団の上に寝ていたパパが
「わぁ、いてぇ。こりゃぁ、いてぇ!」と叫んで、
自分の布団に自分で戻って行ったのです。
畳の上に落とされていたわいちゃんが寝返りを打って、
自分の枕の上に足を落としたのです。
そこに運良く?パパの頭があったというわけです。
ママは思わずニヤリとしてしまいましたね。
「いいぞ、いいぞ!この調子。わいちゃん頑張れ!」
ママは自分の布団に自分で戻ったわいちゃんに
タオルケットをかけてくるんであげました。
そんなわけでママは気持ちよく朝寝坊をしてしまい、
わいちゃんは大慌てで幼稚園へ行かなければなりませんでした。


ナイショですけれど、パパのおでこには可愛らしい
わいちゃんのかかとの跡が小さなくぼみになって残ったままなんです。
うふふ。。。