豆腐


我が家の好物の上位に入るものに豆腐がある。
特に亭主の方には「大」が付く。
住む土地土地で食べれる豆腐に
当たり外れがある。
「静岡では美味い豆腐は見付からなかった。」
と、亭主は言う。


色々な土地に住んで色々な豆腐を食べたら
子供の頃毎朝近所の豆腐屋へ行って
買っていた豆腐屋の豆腐は
余りにも当たり前すぎて
気がつきもしなかったけれど
すっごく美味かったのだと言うことに
今頃気が付いた。


学校へ行く前、朝飯前に、
その豆腐やへ買いに行くのは私の役目だった。
小鍋をぶら下げ、小銭を握り締めて、
角を一つ曲がると
朝の匂いのしている「高橋の豆腐や」へ
飛び込んだものだ。


賽の目に切ってね。」
「奴に切ってね。」
「短冊にして。」
その豆腐屋ももう今は無い。


京都に住んでいた時の豆腐は
人生最高に美味かった!
片道15分の「とようけや」まで
せっせと通ったっけ。


今も久しぶりで豆腐屋にツイテる!
週に二回築地の豆腐屋さんが角まで売りに来る。
これが美味い!
豆腐に目の無い亭主は大喜びだ。
「豆腐はここのだけにしろ!」


「豆腐は冷奴に限る!」
と亭主は譲らない。
だから買うのは絹ごしばかりである。
「いやおぼろ豆腐もここのは美味い!」


それがこの間彼は首をかしげた。
「オイ、いつもの豆腐か?」
「そうだよ、夕方買ったばかりだよ。」
「いつもの香りが無いぞ?おかしいな?」


まァ、それだけのことだが、
これが私が食べても分からない。
私にはいつもの味に思えるのだ。
ヤッパリ、豆腐に関しては彼の舌の方が
一枚敏感なのかも?
「大」が付く分?


で、今日当の豆腐屋の兄ちゃんに
素直に聞いてみた。
「絹は職人と兄貴と僕が作るから
にがりの分量が少し作り手で
違うってことはあるなぁ・・・
大豆もいつも同じ仕入れなんだけど
ヤッパリ時とかで味が違うからなぁ・・・」
と、豆腐屋の兄ちゃんは言った。


ふ〜ん、
なるほど!
そっかぁ!
私も鼻と舌を研ぎ澄ませて・・・?
「今日の豆腐は職人さんのだ!」
なんて当てれたら・・・面白いかも?
ん、そんな舌持ってませんわ・・・無駄な抵抗?