最後の仕事



引退なさった後、どうしていらっしゃるか?
昨年先生の最後の舞台の計画があるとお聞きしました
この作品です
昨日サークル仲間総出で見に行ってきました
この企画が上がってから右往左往したことが
先輩諸氏から耳に入ってきていましたから
最後の最後まで本当にできるのかしら?…?


先生も受付に座っていらして、穏やかなお顔で
挨拶すると「おー!」と言って握手してくださるのですが
「少なくとも誰の名前も出なかったね?」
「知っている顔だ…位はわかっていると思うよ?」
仲間からも当初参加した人も数人いたのですが…
先生の病気が進んで…わからないことが増えて
抜けられた方も数人…その方たちの方が思い入れが強いのか
却ってこの日お見えになりませんでしたね
さっさと傍観に回った私たちの方が見れるなんて


この作品が本当に舞台に上がるか…
色々いきさつがあり過ぎて…
せめて先生が達成した喜びをわかっていらっしゃるといいなぁ
そう思いながら
この一年練習の舞台にはお出でになれなかったというのに
この当日、舞台練習の時に響き渡ったという
先生の大音響の怒声をちょっと漏れ聞きたかったような…
リーダーが言うには
「演出家として天皇と言われていた時の
 怒鳴りまくっていた…記憶がしみついていて、
 私たちの先生をしてくれた頃の穏やかな顔が抜けたのかな?」


戦中派と言うのですか
あの方々の伝えねば…語り伝えねば…と言う意気意志
分かるような気はするけれどもやはり戦後派の我らには重い