「ドレスデン、運命の日」編
ドイツの敗戦が確実になった1945年2月に行われた、
第二次世界大戦の戦勝国英米軍による空襲により、
廃墟となったドレスデンを描いた映画があった。
「ドレスデン、運命の日」
当然私は1945年3月10日からのアメリカの
焼夷弾による東京への絨毯爆撃を思い浮かべる。
爆撃の結果である廃墟の様相で、ドレスデンと東京の決定的な違いは、
主に石造建築である欧州の都市の場合
それは殆どおびただしい瓦礫の山であって、
東京の場合は一面の焼け野原であったということだろう。
そう「第三の男」で見た戦後のウィーンも
あちこちに瓦礫が積みあがっていた
「ドレスデン、運命の日」も
旧市街地の爆撃により崩れ落ち瓦礫となっていく建築群と
その崩壊により圧死していく人々の様が戦争の恐怖を伝えていた。
そして東京の空襲の場合は
火に追われて逃げ惑う人々と焼けこげ窒息して死んでいく人々、
川や池、プールで凍死溺死していく人々のむごたらしさの記憶。
今回の旅3日目にドレスデンを訪れた。
戦後65年の東京を見ている私はドレスデンが
どんな街になっているか興味があった。
映画でも見たが、戦後?2005年
聖母教会フラウエンキルヘ再建のニュースは記憶にある。
市民が瓦礫を丹念に集め長い時間をかけて修復した話だ。
そして初めて見るドレスデンは・・・
廃墟から立ち上がった新しい町ではなかった!
そのまま、中世のまま、
廃墟の中にそのまま立ち上がっただけのように見えた。
瓦礫を丹念に集めて・・・
結果45%が元の建築物からのオリジナルのものだという
フラウエンキルヘ
フラウエンキルヘのように、
↓旧市街地を構成するドレスデン城、ホーフキルヘ、
↑ゼンパー・オーパー、ツヴィンガー宮殿なども
みんなそれぞれの瓦礫を集めて作り直されたものの様に見えた。
破壊を免れたアウグストゥス・ブリュッケ橋と
全く同じ古さに見えるではないの?
なぜならこれらの建物が黒々として非常に古く、
何世紀もの時を潜り抜けてきたかのように見えるからだ。
が、この石の黒さはザクセン産の砂岩が鉄分を含有しているから。
ちょっとこける気もしないでもないが、その効果は抜群だ!
キラキラとガラスに輝く東京の再建と対極に位置する気がした。
勿論都市機能や規模において比べることはできないが、
それでも妙に羨ましい気持ちになってしまった。
「木と紙と瓦屋根の東京を再建して」
・・・なんて言う気持ちは全く無いが、
燃え尽きてしまった見たことも無い昭和初期の東京に
妙に郷愁を感じてしまった。
木の柱と土壁とモルタルで塗られ物干し場の突き出たあの2階屋に
今更住みたいとはこれっぱかしも思っていないのに・・・
先祖が歩いていた・・・みたいな街で
暮らし続けている人が妙に豊かに羨ましく思えてしまった。
↓唯一全きオリジナルのドレスデン城のタイル画「君主の行列」