わいちゃんの目


ママは台所でため息をついています。
丸つぶれになった、平皿に盛ったご飯の前でもう一度ため息をついてから、
思わずニヤッと笑ってしまいました。
「本当に全く面目丸つぶれってこの事ね?」
直ぐにラップをかけておかなかったのはママの失敗ですよ。
でも、可哀相なのは勿論ご飯ですよね。


わいちゃんとえすちゃんはもう寝たらしく、
二階はシーンとしています。
ちょっと前にわいちゃんは二階からしょんぼりと降りて来て
「パジャマのお膝のところがなんだか気持ち悪くて寝らんないよぅ。」
と、言ったのです。
ママはわいちゃんの膝を見つめて、あっけにとられて・・・
台所へ飛んで行ったのです。
そしてこのぺちゃんこになったご飯のお皿を見つけたというわけです。


だってねぇ、わいちゃんのパジャマのお膝は
たっぷりのご飯粒を食べさせられてゲップをしていたんですもの。
ママは一瞬のうちに推理力を働かせたというわけです。


お風呂上りのわいちゃんとえすちゃんはさっき
飲み物を取りにお台所へ行ったのです。
冷蔵庫の横の調理台の上に
残りご飯を入れたお皿を冷ましておいたのですけれど、
わいちゃんはどうやらその上にどっかりとお膝を乗せて
棚の上のコップを取ったというわけです。
お兄ちゃんらしくえすちゃんのコップもね。
牛乳をたっぷり飲んで満足をして、
「おやすみなさい。」して・・・
で、今、やっと気が付いたというわけです。


きっとパジャマのお膝が泣いてわいちゃんに訴えたからでしょう。
そうでなければわいちゃんは気が付かなかったでしょう。
だって、ご飯を入れたお皿はたっぷり直径20センチはあったのに、
わいちゃんの目には入らなかったのですものね。
全くわいちゃんのお目めは時々おさぼりするようですよ。


それとも…ママは時々こっそり思うんですけれど
「わいちゃんて、急いでいると目を使うのを忘れるんじゃないかしら?」
それにしても可愛そうなパジャマズボンと
面目丸つぶれになったこのご飯をどうしましょうか?


ナイショですけれどわいちゃんのお目々は
以前よりほんの少し小さくなったようなんですよ。