父の奮闘


ホームに入居してちょうど1ヶ月
「大分慣れてきた!」


まず
「新聞を取りたい!」
ホームの居住者で新聞を取る初めての人になった
「食堂に新聞おいてないの?」
「あったとしても今まで通り一人でゆっくり部屋で読みたい」
そりゃそうだ!


「自室のトイレにウォシュレットを取り付けたい」
そういうことを想定していませんし…
暖房便座がついているのですからそれで我慢を…といわれ
「もう何十年もウォシュレットで生活している
 あれがないと快適な生活ができない」
施設長と業者と話をつけました
「何日ぶりかで快適な便通をした!」
快哉が聞こえたときは思わず笑っちゃいましたっけ
「こんなことお前に大声でいうことじゃないが
 実に嬉しかった!」そうですよー


一人での外出を認めてもらった
「お嬢さんの許可があるなら結構です」
生活の質の問題だから、外出して何かあったとしても
外出したいという意欲は殺ぎたくない…
昨日初めて2時間の外出届を出して
「郵便局と足慣らしをしてきた」
電話の向こうの声は意気揚々としていた
一番近い郵便局まで父の足で往復1時間かかったらしい
施設の人に地図を描いてもらって歩いて…
「局の前に大型のドラッグストアがあったが
 途中ほかには見事なほど何もない
 でもそこで大体の生活必需品は買えることを発見した
 靴下も置いてあるんだなぁ」
感心していた
「施設で洗濯物を出すと必ず靴下が戻ってこない
 あんなに持ってきたのに、足りなくなりそうだ」
3足出して2足が行方不明ということが続く…というのは
靴下に名前が付けにくかったせいらしい
幼稚園児のように何もかもに名付けをしなければならぬ


文を練り、親戚知人に転居の通知を出した
その反応が表れ始めた
「俺なりの意地があるから…自分で決断し
 その決断におおむね満足しているむねを書面にした」
驚きと決断の素晴らしさに感嘆する電話が多いそうだ
私の従妹などは
「うちのお母さんにおじさんを服用させたい
 妹夫婦にわがままほうだい妹がもう音をあげてるのよー
 ホーム入ったのに勝手に帰ってきちゃってそれっきり」
「娘だからできることよ、おばさん幸せよー」
長男夫婦に追い出され、二男夫婦に背かれた義弟には
「そういう手があったんですね?誰も教えてくれなかった…
 この辺にもあるでしょうか?と聞かれた…
 早速役所に相談に行くそうだ」
70過ぎた甥からは
「早速、インターネットで見ました
 きれいでよさそうですね…見学に行きたい」だって


それなりの波紋を広げているようです
世間は物見高いけど…すぐ忘れる…てくれる…かな?