わいちゃんとえすちゃん


とても暑い暑い午後のことでした。
余り暑くてえすちゃんが汗びっしょりになったので、
ママはお風呂で遊んでもいいと言いました。


ママは少しぬるめのお湯を入れてくれたのですけれど、
わいちゃんとえすちゃんはママがあっちへ行ってしまうと、
早速お水を出して遊び始めました。
わいちゃんときたら、お水が大好きで、
冷たい水のシャワーを平気で浴びます。
もぐったり、水鉄砲で撃ちあったり、
おもちゃに水を入れたりしているうちに、
お風呂はどんどん冷たくなって、二人は顔を見合わせて
「冷たくていい気持ち!」とにっこり。


遊びに夢中になったえすちゃんは、
それでもママに言われたとおり体も洗おうと、
浴槽の中にシャンプーも石鹸も皆入れてしまいました。
「この方がいっぺんに洗えちゃうよね、お兄ちゃん。」


そうしたら、あらあら、いつの間にか泡がいっぱい。
わいちゃんも泡のお風呂がすっかり気に入って、
二人は泡の中でお水をかき混ぜかき混ぜ・・・
バチャバチャ身体を洗っているつもりでした。
お風呂場は湯舟の中も外も泡ぶくでいっぱい。
プカプカ、フワフワ、シャボン玉が舞い上がりました。


「いいぞ、いいぞ!モットヤレ!」
お兄ちゃんの掛け声に勇気凛々、えすちゃんの腕は風車のよう。
振り回せば振り回しただけプカプカ、ポッコポコ、ホワンホワン。
あっちを向くとパッチン。
こっちを向くとポッチン。
お手手を動かすとプチン。
足を上げればペッチン。
シャボン玉がはじけます。


二人は嬉しくて楽しくて大笑い。
げらげら笑っているうちにわいちゃんが
「おやっ?僕おかしいよ。浮かんでる?」
えすちゃんが泡の向こうを見ると、
お兄ちゃんが大きなシャボン玉の中に入って
フワフワ揺れているではありませんか。
裸ん坊のわいちゃんがフワフワプカプカ、お風呂の中でゆうらゆら。


えすちゃんはますます嬉しくなっちゃって
もっともっと笑い転げていましたら、あれれ?
えすちゃんも笑いながらいつのまにかシャボン玉の中!
ぽっかりぽっかり浮き上がっているではありませんか。
裸のお腹を抱えて笑いながら。


余り賑やかなので、まぁなんでしょうと、
ママがお風呂の戸を開けると、その開いた扉から
シャボン玉の中に入ったままのわいちゃんとえすちゃんが
フワフワプカプカ揺れながら、
飛んでお空に上っていってしまったではありませんか。
お空の上のほうから楽しげな笑い声が降ってきましたよ。
まぁまぁ!とママが驚いているうちにね。


わいちゃんとえすちゃんは一体どうなったのでしょうね?
ナイショですけれどね、帰り道が分からなくなっちゃったようですよ。