初春


 

「正月に歌舞伎を見ることほど
 新春とか初春とか感じさせる物は無いな・・・」
と、父は年末に言いました
「だから早く歌舞伎のチケット取っておかなくては・・・」
「で、どっちにするの? 団十郎海老蔵?」
「う〜ん・・・・・」
父は考え込みました。


団十郎さんの像引か?海老蔵さんの弁天小僧か?
つまりこの正月は歌舞伎座は無いって事ね?
歌舞伎座お別れ公演・・・って、昨年1年かけて
名残りを惜しんだといえば惜しんだことだし・・・
「私、白波五人男」の大詰まで見たこと無い
 それを言えば象引も見たことないんだけど・・・」
「春だ!若い方でいこう!」
父の裁定が下り、私はPCにかがみ込みました


新橋演舞場の正月公演夜の部がお目当てです
年末だというのに皆さん暇なんだなぁ・・・もう既に
今回もやっぱり3階席から売り切れ
2階席を予約しましたが・・・当日あちこち空いていて
ひょっとしたら3階席を売り切れにして措いて・・・という
劇場のわな?ではないかな?なんて?


ま、それはともかく堪能したといえるでしょう!
海老蔵さんの女形は「紅葉狩の更科姫」を見ていますが
あの時はふっくら優しい美貌に感歎!しましたが、
今回は鼻筋の鋭く尖った凄艶な菊之助・・・痩せましたね?
声も良く通りましたし科白も明瞭でしたが
ちょっと力が足りなかったような気がしないでもない
楽なところで無難に流したような?
でも、期待の人の活躍は嬉しい
父も「華やかだなぁ・・・嬉しくなるなぁ・・・」と満足げ
生まれつきの花も声も粋も有るんでしょうね
あと、私としてはもう一つ、久しぶりの、しかも大役で
期待していた獅童さんの関西弁が苦しくて
声も割れて科白が通らない・・・南郷力丸は出ていたのだから
忠兵衛の科白の音がまだ取れていなかったのだろうか?
不安定なところが心配なところです。
こんな役させてもらえるのだから頑張ってね
段治郎さんの利平が柄も声も良くていい感じだな!


頑張って着物を着て行ったし
父じゃなくても・・・完璧初春!堪能