知らないって・・・


「すげぇー、耳抜きしなくっちゃ」
えすちゃんが家に入ってきた第一声がこれでした。
パパの誕生日以来の顔みせだっつーのに他に挨拶ないの?


「気圧低くなっていない?
 空気穴詰まっていない?」
「そうなの?いつもと同じだけど・・・」
とパパも私も怪訝な顔・・・っていうか意味が判らん



換気扇のそばに行って覗き込んで「掃除している?」
「しているよ、フィルターまだキレイでしょう?」
えすちゃんはベランダへ出て換気扇を外しました。
「ほら、ここ、この掃除法聞いていない?」
「えー?」
えすちゃんが外したベランダ側の換気扇の中のフィルターは黒く、
換気扇の中の網も煤で真っ黒けでした!
「えー、これ外れるの?この中掃除するもの?」


知らないって恐ろしいことですねぇ・・・
自分が住んでいる家なのに
そういえばこのところ玄関ドアとサッシが益々重くなった気がして
「このマンションに住んでから着実に3年分年とった!」
なんて思っていたところでした。
「私一人になったらドアを開けられなくて
 ドアの下で干からびているのが発見されるな!」って。
「時々来てるでしょうが・・・何をおっしゃいますやら」


ともあれ、時ならぬ?換気扇大掃除になりました。
えすちゃんの指導の下
綿棒と古歯ブラシと雑巾でキレイに拭きあげましたら
「おーい、風が入って来るぞ!
 風邪を引くかもなぁ・・・空気が入れ替わっているぞー」とパパ
サッシを開けたら「グピュァッ」という音もせず
すうーっと開きました!


ほんと、思いっきり笑っちゃいました。
マンションの中にはこんなこと私たちみたいに
気が付かないまま住んでいる人が他にも居るかも知れません。
高層マンションにはそれなりの生きる術がありそうですねぇ・・・


「いつもこんなに食っていたら太るわけだ!」と
えすちゃんは満腹して?帰っていきました。
「干からびる前にまた来てやるよ!」