真正音痴


タクジローと城廻りに行く時は
大抵無言の長い時間を車の中で共に過ごす。
彼はFMもCDも、音楽が流れるのはうっとうしいと言う。
同じ理由で?私のおしゃべりも遠慮してくれと言う。
ドライブ中は読書は無理だ・・・
で、私は大抵沈思黙考or熟睡忘我中


ところがたまにタクジローは鼻歌を歌うときがある。
ついこの間そんな気分になったらしく鼻歌が出たので
「発声練習の前に自分の最低音から最高音まで
 あ・あ・あ・あ・あ・あ↑あ・あ・あ・あ・あ・あ↓ってするのよね。
 ドレミファソラシド↑ドシラソファミレド↓ならなんとか出来るのに
 あああになると外れるのよね。何でだろうね?
 やっぱりこれが本当の音痴ってことかな?」
「お前音痴ではないよ、やってみな!」
「あ・あ・あ・あ・あ↑?」
「冗談だろ?」
「冗談じゃない!だから真正音痴ってこういうのかなぁ?って。」


「それってなんだろね?お前歌を音階で歌える?」
童謡を彼はドレミで歌ってみせました。
「楽譜を見せてもらわないと出来ないよ。ドドレド、ミソラド?」
「違う!変だな?歌を聴いてすぐそれをハーモニカで吹ける?」
「吹けない。ドレミで覚えた曲なら吹ける。」
「おかしいな?俺は直ぐ吹けるし、簡単な曲ならピアノでも弾けるぞ。
 習ったことなんか無いけどなぁ・・・それが普通だと思ってた。」
「そっちが普通じゃないんじゃないの?
 音楽する人でも絶対音感のある人って少ないらしいけど、
 君はかなり音感がいいって事じゃない?」
それから彼は失礼にも笑い転げました。
「あ・あ・あ・あ・にするとドレミにならないなんて・・・変な奴!」
どっちが?
大体音楽聴くのが好きなのは私の方なのに・・・解せない!


とにかく先生はね
「外れてもいいんですよー自分の出せる一番高い音と
 一番低い音までの音をだせばいいからねぇー」
大体一回それをすれば後は発音練習↓


これはね・・・「詩」だから許せるけど・・・
全く趣味が「自虐の歌」になるのはこういう時!
何時まで続くかな?・・・って毎回思うよ。